顎関節部のCT・MRI検査を受けた患者さんへ(臨床研究に関する情報)


当院(新潟大学医歯学総合病院)では、最新のCTの診断精度を明らかにするために、以下の臨床試験を行なっており、できるだけ多くの患者さんに協力をお願いしています。

研究課題名:
「MRIとの比較によるCTの顎関節円板転位診断精度の再評価」

承認番号:2022-0177(承認日:2022年10月26日)

1.研究目的及び意義
関節症は、あごの関節やあごを動かしている筋の痛み、関節の雑音、開口障害あるいはあごの運動の異常を主な症状とする障害をとりまとめた病名で、あごの関節の疾患では最も多くみられます。
その中にはさまざまな病態が含まれますが、なかでも高頻度にみられるのが、あごの関節のなかにある関節円板のずれ(転位)による障害です。
顎関節症の診療においては、まず関節円板の転位を診断するのが最も基本的なこととなりますが、正確な診断にはMRI検査が必要となります。
しかし、MRI検査は費用が比較的高額で利用可能な施設も限られるため、より検査費用が安価で利用しやすいCT検査で関節円板の転位を診断できれば、さまざまな面で負担が軽く済むと思われます。
私たちは25年ほど前にCT検査でもMRI検査に近い診断精度があることを確認しましたが、その頃よりもCTの性能は著しく上がっています。
そこで、最新のCTで撮影されたデータを活用し、MRIと比較研究することでCTの診断精度を再評価することとしました。
当院において、さまざまな臨床診断のもとに顎関節部のCTとMRIの両方が撮影された患者さんのデータを活用させていただき、MRIにおける関節円板の転位の診断を基準として、最新のCTの診断精度を明らかにします。
25年前の私どもの研究結果との比較を行い、再評価によりさらなる診断精度の向上のポイントが明らかとなれば、医療資源の有効活用や医療費の削減にも結びつくものと思われます。

2.研究協力の任意性と撤回の自由
研究に協力するかどうかは、あなたの自由意志で決めてください。
また、いったん研究協力に同意された場合でも、いつでも取り消すことができますので、担当者にご連絡下さい。
その場合は画像検査データや情報の結果は廃棄され、診療記録もそれ以降は本研究のために用いられることはありません。
ただし、どれが誰のものか判らないように匿名化されてしまっている場合には、廃棄することができません。また、すでに研究結果が論文などで公表されていた場合などは、その結果を廃棄できないことがあります。
研究に協力されてもされなくても、同じように最善の医療を提供いたします。試料提供をしないことによって、あなたが不利益な対応を受けることは決してありません。

3.研究方法
3-1.研究対象者として選ばれた理由
【選択基準】
新潟大学医歯学総合病院において、さまざまな臨床診断のもと、顎関節部のCTとMRIを撮影した患者さんです。
【除外基準】
顎関節の疾患あるいは障害として、「日本顎関節学会の分類(2014)」において列挙されている、先天異常・発育異常、外傷、炎症、腫瘍および腫瘍類似疾患、顎関節強直症、ならびに同領域に手術歴のある症例は除外します。
また、CTとMRI検査の検査間隔が1年以上の症例も除外となります。

3-2.研究方法 
この研究は、顎関節部のCTとMRIを撮影した症例を対象とした、後ろ向き研究です。
2014年1月1日から2022年12月31日の8年間に、本学医歯学総合病院において顎関節部のCT検査およびMRI検査を施行した症例を対象として、MRIにおける顎関節の関節円板転位診断を基準として、最新のCTの診断精度を検証します。
MRIでの関節円板点転位の診断基準は、主として矢状断上での関節円板後方肥厚部ならびに中央狭窄部の下顎頭との位置関係に基づいて行います。
CTでの関節円板転位の診断基準は、私どもが1999年に行った研究結果を参考に、主として横断像での下顎頭前方の半月状軟組織の有無に基づいて行います。
対象となる症例は事前検討の結果に基づき、80人としています。顎関節は左右両側にあるため、その倍の160関節が検討対象となります。
統計学的検討はSPSS Statistics25を用い、感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正診率などの診断精度の評価を行い、以前のわれわれの研究や国内外の類似の研究との比較検討を行います。

3-3.研究参加期間
研究全体の予定期間は、新潟大学における人を対象とする研究等倫理審査委員会承認を受け、学長(機関の長)が実施を許可した日から2023(令和6)年3月31日です。

3-4.研究参加予定人数
この研究は80人の方に参加をお願いする予定です。

3-5.試料・情報の保管及び廃棄
この研究により得られた情報および関連する実験データなどの資料類は、研究結果の最終の公表について報告された日から10年を経過した日までの期間、当院の研究責任者が適切に保管します。
資料は一切印刷せず、を廃棄する場合は、適切にデータ消去ソフトによりパーソナルコンピュータから完全に消去する方法で、個人を識別できない状態で適切に廃棄いたします。

4.研究計画書等の開示
詳細な研究の計画、研究の方法についてお知りになりたいときには、担当医師までご連絡ください。
この研究に参加している他の方の個人情報や、研究の知的財産等に支障がない範囲で研究計画書の閲覧や説明をいたします。

5.研究対象者にもたらされる利益,不利益
この研究は、すでに得られた画像および情報を使用する研究のため、研究対象者に特別な利益、負担、リスクは生じません。また研究に参加することで特別の利益は生じません。

6.個人情報の保護等の取扱い
この研究において、画像データおよび診療録の情報は、特定の個人が識別できないようにして、患者さんの個人情報を保護いたします。
この研究の結果が学会や医学雑誌などに発表されることもあります。ただし、いずれの場合にも、あなたの個人情報(名前や住所,電話番号など)が公表されることは一切ありません。

7.利益相反について
利益相反とは、外部との経済的な利益関係等によって、研究データの改ざん、特定企業の優遇など研究が公正かつ適切に行われていないと第三者から懸念されかねない事態のことを指します。
この研究は、特定の企業からの資金提供を受けておらず、特定の企業の利益を優先させて、あなたの治療方針を変えてしまったり、研究の公正さを損なったりすることはありません。

8.研究に関する情報公開の方法
この研究は、当分野(新潟大学大学院医歯学総合研究科・顎顔面放射線学分野)で運営するwebページへの掲載により情報公開を行います。

9. 研究から生じる知的財産権の帰属先
この研究により得られた結果が、特許権等の知的財産を生み出す可能性がありますが、その場合の特許権等は、開発・発明にかかわった研究者もしくは研究者の所属する研究機関に帰属します。
そのため、本研究へあなたが研究対象者として参加することで、これらの権利が発生することはありません。

10.健康被害が発生した場合の治療と補償について
この研究は、通常の検査を行い、その中で得られた診療情報を収集する研究であり、この研究に参加したことが直接の原因となってあなたに副作用などの健康被害が生じることはありません。

11. 試料・情報の二次利用に関して
この研究により得られたデータや検体が、他の目的に使用されることはありません。

12.費用負担に関する事項
この研究は、すべて保険診療で行うため、検査の費用は通常に診療を受ける場合と同じように、健康保険を用いて自己負担分をお支払いいただくことになります。
この研究に参加していただいても、謝礼をお渡しすることはできません。

13.お問い合わせ,苦情等の連絡先
この説明文書を読んでもわからないことや、研究に関する質問や何か心配事がありましたら、どうぞ遠慮なく下記の担当者に質問してください。

問い合わせ・苦情等の窓口連絡先:
951-8514 新潟県新潟市中央区学校町通2-5274
新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面放射線学分野
担当歯科医師 林 孝文(はやし たかふみ)
電話 025-227-2914
FAX  025-227-0810


Last updated at November 16, 2022.
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本ページに関する問い合わせ先:林 孝文(hayashi@dent.niigata-u.ac.jp)