歯科基礎医学会サテライトシンポジウム(サテライト7)として開催します。PDF版はこちら。
日時: |
2005年9月28日(金)16:00~19:00 |
場所: |
東北大学艮稜会館(仙台市) |
企画者: |
原田英光
、大島勇人 |
座長: |
原田英光
、福本 敏 |
後援: |
歯胚再生コンソーシアム |
プログラム |
1. 栗栖 浩二郎(大阪大・名誉教授) アメロゲニンの細胞生物学的機能を示唆する初めての形態的知見について 2. 福本 敏(九州大・院歯・小児口腔医学) アメロブラスチンによるエナメル芽細胞の分化制御 3. 中村 卓史(NIDCR/NIH) Epiprofinはenamel matrixの発現と歯の形態形成に必須の分子である 4. 畠山 純子(東北大・院歯・顎口腔形態創建学) Amelogenin/Ameloblastin Double Knockout Mice 解析によるエナメルマトリックスの働き 5. 須田 直人(東京医歯大・院医歯・顎顔面矯正学) 歯根吸収に関する最近の知見とアメロゲニンによる吸収抑制の可能性 6. 谷口 彰良(物質材料研究機構・細胞基盤技術グループ) アメロゲニンの発現増幅メカニズムとその意義 |
【趣旨】
エナメルタンパク質は、エナメル芽細胞が分泌するエナメル質の基質として知られ、臨床的にも歯周組織再生療法に用いるエムドゲインの主成分として理解され
ている。そのため、その発現メカニズムや機能の解析は歯の研究の中でも主たるテーマとして扱われてきた。近年、細胞生物学や分子生物学による研究手法の進
歩によって、細胞培養、器官培養、遺伝子組み換えマウスなどさまざまなアプローチで研究されるようになった。その結果、エナメル質の石灰化のみならず、細
胞の増殖や分化に影響を与える機能性タンパク質としての側面も見出された。そこで、このシンポジウムではエナメルタンパクの新規機能を探究する上でブレイ
クスルー的な役割を果たすことが期待される研究にスポットを当て、6人の研究者の方にご発表をお願いした。
【演題と抄録】
1.アメロゲニンの細胞生物学的機能を示唆する初めての形態学的知見について
大阪大・名誉教授 |
【目的】
1987~1990年、われわれは体外免疫法を用いて、ラット歯胚に対するモノクローナル抗体を作成する実験を行い、様々な歯胚組織を特異的に認識する
いくつかの抗体を得た。その内アメロゲニンを認識することが確認されたEn3抗体を用いて、ラット歯胚の免疫組織学的研究を行った。その結果、エナメル芽
細胞によるアメロゲニンの分泌は早期の前エナメル芽細胞の段階から始まり、主として歯乳頭方向に浸透し、一部は前象牙芽細胞や象牙芽細胞などに取り込まれ
ていることが明らかになった1)。これは、アメロゲニンが他の細胞に何らかの影響を及ぼしていることを示唆する当時としては初めての形態学的知見であっ
た。そこで演者は、本シンポジウムの他の5人の演者による、アメロゲニンなどのエナメル蛋白の歯胚細胞に対する影響に関する最新の研究の導入として、われ
われの往時の研究を紹介したい。
【方法と材料】
ラット歯胚のホモジネートをアジュバント存在下で、Balb/cマウスの脾細胞と3~5日培養した。この脾細胞とマウスミエローマ細胞を50%ポリエチ
レングリコールを用いて細胞融合させ、HAT培地で10~14日間培養した。得られたハイブリドーマの産生する抗体のスクリーニングは、歯胚を含む組織切
片で蛍光抗体法を用いて行った。実験目的にかなう抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法を用いて3回クローニングした。蛍光抗体法による組織化学的検
索では、PLP固定した生後0~7日のSDラットの上・下顎をEDTA脱灰し、パラフィン包埋して切片を作成した。2次抗体には、FITC標識ヤギ抗マウ
スイムノグロブリン抗体またはFITC標識ヤギ抗マウスμ鎖抗体を用いた。免疫電顕では、主としてpost-embedding法を用い、2次抗体には金
コロイド標識ヤギ抗マウスμ鎖抗体を用いた。
【結果】
得られたモノクローナル抗体は、エナメル芽細胞またはエナメル質を認質するもの、象牙質または骨基質を認識するもの、間葉組織を広範に認識するもの、破
骨細胞を認識するものなど合計10種あった。そのうち、ウエスタンブロティング法によって分子量(23kD)と等電点(6.6~7.0)から認識する抗原
がアメロゲニンと同定された抗体En3を用いて免疫組織化学的解析を行い、以下の結果を得た。1)En3抗体による染色性は、最初に前期の前エナメル芽細
胞に認められ、その細胞内局在は蛋白分泌経路の細胞内小器官であった。2)前エナメル芽細胞に相対する象牙前質、象牙芽細胞の細胞間隙、象牙芽細胞層直下
の歯乳頭にEn3抗体に陽性のstippled materials (SM)
様構造物が認められた。3)象牙芽細胞の細胞間隙にあるEn3抗体に陽性のSM様構造物に接して被覆小窩が認められた。4)象牙芽細胞のライソゾームに
En3抗体の反応が認められた。5)エナメル芽細胞によるエナメル基質の形成が始まると、上記のEn3陽性物質の歯乳頭方向への浸透は、形成期のエナメル
芽細胞に相対する部位では殆どみられなかった。6)以上の所見は、前エナメル芽細胞より分泌されたアメロゲニンが歯乳頭方向へ浸透し、その一部は象牙芽細
胞に取り込まれ、象牙芽細胞の分化または機能に何らかの影響を及ぼしていることを示唆する。7)En3抗体に陽性のSM様構造物は中間層細胞の細胞間隙に
も認められた。8)後期の前エナメル芽細胞では、しばしば拡張した粗面小胞体(rER)がみられ、その内容物はEn3抗体に陽性の部分と陰性の部分がみら
れた。これは、われわれが他のrERの系で観察したもの2)と同様であった。9)En3抗体を用いて、ラット臼歯咬頭のエナメル質欠失部を検索した結果、
この部位では未分化のエナメル芽細胞様細胞からアメロゲニンを含むエナメル質様物質が分泌されて、象牙質の表面に薄い層を形成していることが明らかになっ
た3)。
【結論】
アメロゲニンの分泌は早期の前エナメル芽細胞の段階から始まり、主として歯乳頭方向に浸透し、一部は前象牙芽細胞や象牙芽細胞などに取り込まれることが
明らかになった。このことはアメロゲニンがこれらの細胞の分化または機能に何らかの影響を及ぼしていることを示唆する。
【参考文献】
Inai T. et al.: Immunohistochemical demonstration of amelogenin penetration toward the dental pulp in the early stage of ameloblast development in rat molar tooth germs. Anat Rec, 229:259-270, 1991.
Kurisu K. et al.: Heterogeneous distribution of the precursor of type I and type Ⅲ collagen and fibronectin in the rough endoplasmic reticulum of palatal mesenchymal cells of the mouse embryo cultured in acorbate-depleted medium. Cell Tissue Res, 267:429-435, 1992.
Inai T. et al.:
Demonstration of amelogenin in the enamel-free cusps of rat molar tooth
germs: Immunofluorescent and immunoelectron microscopic studies. Anat
Rec, 233:588-596, 1992.
2.Ameloblastinによるエナメル芽細胞の分化制御 九州大学大学院歯学研究院 小児口腔医学分野 福本 敏 |
エナメルマトリックスは、エナメル質の形成に必須の分子であるが、その細胞レベルでの機能は不明であった。近年、各種エナメルマトリックスを欠損したモ デルマウスが作製され、その分子メカニズムが徐々に明らかになってきた。
アメロブラスチンは、プロリンリッチな糖タンパク質で、その局在はエナメル芽細胞に特異的であり、エナメル質の石灰化に重要と考えられてきた。しかしな がら、アメロブラスチンのノックアウトマウスの解析から、エナメル芽細胞の分化制御に重要な役割を演じており、細胞外マトリックスでありながら、単なる足 場蛋白としての機能のみならず、細胞分化誘導因子としての機能を有していた。
具体的には、アメロブラスチンを欠損したエナメル芽細胞では、エナメル基質の表 面に接着することができず、その細胞極性を失うこと、さらには停止していた細胞増殖が再び亢進することが明らかとなった。アメロブラスチン分子は、直接エ ナメル芽細胞に吸着し、そのシグナルによってp75、 p27、Msx2の発現制御をおこなうことが判明した。これらシグナル分子の制御により、おそらくは細胞増 殖を亢進させ、アメロジェニンの発現制御をおこなっていると考えられた。
このようなアメロブラスチン分子の細胞吸着能は、リコンビナント蛋白を用いた解 析から、C末端側の3カ所のヘパリン結合領域が重要であることを見いだした。一方で、ノックアウトマ ウスのエナメル質の構造解析から、初期のエナメル結晶の核形成が阻害されていることが明らかとなり、細胞の分化制御のみならず、アパタイト結晶の形成にも 重要な役割を演じていることが明らかとなった。今後は、他のエナメルマトリックスであるアメロジェニンやエナメリン等との相互作用について検討を進めると ともに、アメロブラスチンを用いたエナメル芽細胞の分化誘導法の開発を試みる。
【参考文献】
Fukumoto S, Kiba T, Hall B, Iehara N, Nakamura T, Longenecker G, Krebsbach PH, Nanci A, Kulkarni AB, Yamada Y. J Cell Biol. 2004; 167(5): 973-83.
3.Epiprofinはenamel matrixの発現と歯の形態形成に必須の分子である Craniofacial Developmental Biology and Regeneration Branch National Institute of Dental and Craniofacial Research National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, U.S.A. 中村卓史 |
歯の発生と器官形成は上皮と間葉の相互作用によって制御されており、歯は形態的 にも機能的にも極めてユニークな器官の一つである。近年、様々な器官の発生・形態形成にかかわる分子が同定されて、その機構が明らかにされようとしてい る。しかし、歯の発生機構のには依然として不明な点が多い。歯の発生、分化に重要な役割を担っている新規遺伝子を同定するため、胎生期19.0日目の下顎臼歯胚からcDNAライブラリーを作成し、その中から約12000個のcDNAクローンを用いてマイクロアレー用チップを作成した。このcDNAチップを用いてハイブリダイゼーションによる発現解析をおこない、 歯胚特異的遺伝子の同定をおこなった。その結果、少なくとも8個 のクローンは歯に強く発現している新規遺伝子であることが判明した。その中の一つの遺伝子をEpiprofinと名付けた。 Epiprofinは C2H2タイプのzinc フィンガードメインをC末端に3個持つSp/KLFファミリーに属する転写因子であることがわかった。Epiprofinは歯の発生初期の胎生11.5日目の歯堤口腔上皮に発現し、その後内エナメル上皮に継続的に発現する。歯の発生後期にな ると、間葉細胞由来の前象牙芽細胞にも発現が認められた。 Epiprofin は 毛嚢上皮 や 肢芽上皮細胞にも発現する。また in vitro の系において、 Epiprofin が細胞増殖を促進する機能を有していることが分かったが in vivo の機能は全く分かっていない。 器官形成におけるEpiprofinのの機能を明らかにするため、Epiprofin遺伝子欠損モデルマウスを作成した。Epiprofin欠損マウスは体長体重が小さく、体毛がなく、合指症をともなっていた。歯胚の発育は遅延 し、エナメル芽細胞への分化がおこらず、 エナメル質形成が全くみられなかった。 象牙質の形成不全も認められた。さらに、切歯および臼歯ともに歯 堤の過剰な分岐が生じ、多数の過剰歯の形成と萌出が認められた。 発現ベクターを用いた培養系で、Epiprofin が歯上皮細胞のエナメル芽細胞への分化を促進することもわかり、Epiprofinが 歯上皮細胞 の分化を誘導させるマスター遺伝子であることが示唆された。 しかしながらその機能以外にも、Epiprofinが歯の数を制御していると考えられ、また他の外胚葉系器官の発生にどのような分子機能を有 しているかは依然として不明であり、現在その機構の解明を行っている。
4.Amelogenin/Ameloblastin Double Knockout
Mice解析によるエナメルマトリックスの働き 東北大学大学院歯学研究科 顎口腔創建学講座 顎口腔形態創建学分野 畠山純子 |
エナメルマトリックス蛋白は主に分泌期エナメル芽細胞から分泌され、エナメル質
形成に関わる。アメロジェニンはエナメルマトリックス蛋白の約90%を占める。アメロジェニン遺伝子機能喪失マウス(Amelogenin
Knockout Mice-以後Amel KOと略する)は乳白色を呈し、エナメル質の厚みは正常マウス(Wild type mice –
以後WT )の約1/10のみであるエナメル質形成不全症減形成タイプを呈する (C. Gibson et al.,
2001)。また、破骨・破歯細胞を誘導する因子RANKLの増加とこのパスウェイの下流の因子TRAF6の増加が認められ、その結果として象牙質に及ぶ
吸収と、破骨・破歯細胞の顕著な増加が認められる (Hatakeyama et al.,
2001)。一方、エナメルマトリックス蛋白の約5%を占めるアメブラスチンは、遺伝子機能喪失マウス(Ameloblastin Knockout
Mice –以後 Ambn KO)の解析 (Fukumoto et al., 2004)
から、エナメル芽細胞の増殖に関与することが示唆され、エナメル質形成不全症低成熟型を呈することが示唆されている。
我々は、Amel KOとAmbn KOを掛け合わせ、Amel/Ambn Double Knockout mice (以後DKO)
を得た。DKOは、ほとんどエナメル質を有せず、Ambn KOのエナメル芽細胞と似たエナメル芽細胞の走行の乱れが認められたが、Ambn
KOに見られたようなエナメル芽細胞付近での石灰化粒の沈着は認められなかった。また、歯根にはAmel
KOと同様の吸収像が認められた。12ヶ月齢を超えるDKO切歯のサービカルループ付近には、過剰な象牙質様石灰化物が認められた。
これらのことから、アメロジェニンとアメロブラスチンの両方をノックアウトすると、シングルノックアウトに比較しさらに重度なエナメル質形成不全を呈す
ることが示唆された。
【参考文献】
Gibson CW, Yuan ZA, Hall B, Longenecker G, Chen E, Thyagarajan T, Sreenath T, Wright JT, Decker S, Piddington R, Harrison G, Kulkarni AB. J Biol Chem. 2001; 276(34):31871-5.
Hatakeyama J, Sreenath T, Hatakeyama Y, Thyagarajan T, Shum L, Gibson CW, Wright JT, Kulkarni AB. J Biol Chem. 2003; 278(37):35743-8.
Fukumoto S, Kiba T, Hall B, Iehara N,
Nakamura T, Longenecker G, Krebsbach PH, Nanci A, Kulkarni AB, Yamada
Y. J Cell Biol. 2004; 167(5):973-83.
ている。
5.歯根吸収に関する最近の知見とアメロゲニンによる吸収抑制の可能性 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野 須田 直人 |
歯根吸収は、永久歯への交換時の先行乳歯、炎症性病巣、矯正治療における移動歯、再植歯や移植歯などでしばしばみられる。歯根吸収で主役を演じるのは、 活性化されたOdontoclast (Cementoclast)であり、セメント質や象牙質を歯の 外部表面や歯髄側から吸収していく。Odontoclast (Cementoclast)がOsteoclastと異なった特徴を持つ可能性も否定できない。しかしながら、これらはいずれも造血系細胞由 来と考えられ、同じような細胞形態を呈すことから、吸収の対象となる組織の違いにより異なった細胞名を持つものの、細胞間に違いはないとする説が有力であ る。
ところでエナメルタンパクの一つであるアメロゲニンは、エナメル質の初期発生に重要な因子として注目されてきた。この因子に関しては、シグナル伝達はも ちろんのこと、受容体の存在さえ明かになっておらず、いまだ多くの不明な点が残されている。興味深いことに、アメロゲニン遺伝子欠損マウスの歯根表面に著 しい歯根吸収像がみられることが報告された (J Biol Chem, 2003)。このことは、歯根周囲の上皮細胞(マラッセの上皮遺残)の発現するアメロゲニンが歯根吸 収抑制作用を担う可能性を示唆し、エナメルタンパクの新たな生理機能として注目されている。
歯根吸収は、成長発育のプロセスにおいて起こる生理現象と、歯科治療(矯正治療や歯の再植・移植)の続発症あるいは種々の病態下に惹起されるものに大別で きよう。後者は歯の寿命や予後を左右する重大な問題として、その抑制が臨床的課題となっている。今回の発表では、歯根吸収抑制因子としてのアメロゲニンの 可能性を検証する。
6.アメロゲニンの発現増幅メカニズムとその意義 独立行政法人物質・材料研究機構 生体材料研究センター 細胞基盤技術グループ 谷口彰良 |
【目的】
アメロゲニンはエナメル基質の主成分であり、歯の発生時において大量に発現しエ ナメル質の石灰化などにおいて重要な役割を果たしている。また、最近では細胞の分化に与える活性が注目されつつある。しかし、その発現メカニズムや細胞分 化に与える影響などは明らかになっていない。そこで、我々はアメロゲニンのエナメル上皮細胞に対する作用を検討するため、組み換えアメロゲニンタンパクを 作成して、エナメル上皮細胞株(HAT-7:大阪大学原田先生樹立)に対する活性を調べた。
【方法】
バキュロウイルスー昆虫蛋白発現系を用いて、組み換えアメロゲニン蛋白を発現さ せた。このタンパクをアメロゲニンの発現が低いHAT-7細胞に添加後、細胞分化関連遺伝子の発現量をreal-time PCR法で測定した。アメロゲニンプロモーター活性を調べるために、ラットゲノムDNA からその調節遺伝子をPCRで増幅し、その下流にルシフェラーゼ遺伝子を導入した種々の組み替え体を作成して検討し た。mRNA の半減期はアクチノマイシンDを用いてreal-time PCR法で測定した。アメロゲニン蛋白の細胞内局在はFITC標識アメロゲニンを作成し共焦点レーザー顕微鏡で検討した。
【結果と考察】
組み換えアメロゲニンをHAT-7細胞に添加し分化関連遺伝子の発現を検討したところ、 内在性アメロゲニンmRNA発現が100倍程度増加した。しかし、アメロブラスチ ンなど他の分化関連遺伝子の発現には影響を与えなかった。したがって、この発現増加はアメロゲニン遺伝子に特異的であると示唆された。ルシフェラーゼアッ セイの結果からアメロゲニンタンパクよるアメロゲニンmRNAの発現増加にはアメロゲニンプロモーターの活性化を伴 わないことが明らかになった。したがって、アメロゲニンmRNAの発現増加は転写以降で制御されていると考えられた。 そこで、アメロゲニンタンパクのアメロゲニンmRNAの安定性に与える影響を検討したところ、アメロゲニン の添加よりアメロゲニンmRNAの安定性が高められた。さらに、FITCで標識した組み換えアメロゲニンタンパクはその一部が 細胞内に再吸収され、細胞質に局在していた。以上の結果から、アメロゲニンタンパクは細胞質で自身のmRNAの安定性を高めることによって、mRNAの発現量を増加させていると考えられた。歯の発生過程 においてエナメル上皮細胞はアメロゲニンを大量に分泌する必要があるが、以上のようなメカニズムによりアメロゲニンタンパクを大量に発現していると考えら れる。
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