WHO口腔保健協力センター Japanese English
2022年度活動概要
センター概要
WHO口腔保健協力センター
WHO Collaborating Centre for Translation of Oral Health Science
Country ID: JPN-75
主な役割
1. 健康な高齢化における口腔保健理論の構築
WHOが定義する健康な高齢化において、グローバルレポートや集団対象の調査を通じ、口腔保健理論を構築の支援を行う。
2. 1次予防における口腔保健の推進
WHOが推奨するライフコースアプローチの理論を実践するために、砂糖の摂取制限、禁煙支援、フッ化物洗口等の口腔保健を通じ、健康推進のエビデンス構築の支援を行う。
3. 水俣議定書における歯科用アマルガム使用削減の支援
各国における歯科用アマルガム使用の削減を実質化するための理論と実践の普及支援を行う。
4. WHO国際口腔保健データベースの構築
WHO国際口腔保健データベースに質の高い情報を提供するために、口腔疾患(特に歯周病)に関する疫学研究とデータ収集の支援を行う。
活動1: 健康な高齢化における口腔保健理論の構築
活動内容
1.
高齢者の口腔保健と口腔機能に関する科学的情報を提供する。 日本での研究成果をもとに、WHO Integrated Care for Old People (ICOPE)のための口腔ケア指針作成、および健康な高齢化推進のための口腔保健のコンテクスト開発を行う。
2.
日本の高齢者(94歳)を対象とした縦断的コホート研究を実施し、口腔保健と全身保健の統合を検討する。 口腔保健と全身保健の繋がりを調査し、WHO口腔保健戦略を支持する科学的根拠を強化する。
3.
WHO西太平洋地域事務局の協力のもと、アジア諸国(フィリピン、マレーシア、ベトナム)の高齢者における口腔機能状態を調査するためのオンライン研究をコーディネートする。
4.
WHO西太平洋地域事務局の協力のもと、日本における高齢者口腔保健政策(8020運動)の有効性を評価するためのシステマティックレビューをコーディネートする。
活動成果
1.
WHO Integrated Care for Old People (ICOPE)に口腔保健の要素を導入するための科学的根拠を広めるため、健康な高齢化のためのWHO臨床チームの専門家メンバーとして、ICOPEに口腔保健の要素を導入した。
2.
WHOCC主催で、ZOOM会議「Informal Technical Discussion in The Western Pacific」を2022年6月15日に開催した。 100名以上の歯科関係者が参加し、マレーシア、フィリピン、バヌアツの代表者から歯科保健の取組みとその成果についての発表のあと、西太平洋地域の歯科保健戦略について意見交換をした。
出版物
1.
Oral Health and Nutritional Intake in Community-Dwelling 90-Year-Old Japanese People: A Cross-Sectional Study, Gerodontology (2022)
2.
Oral Health Promotion under the 8020 Campaign in Japan - A Systematic Review, International Journal of Environmental Research and Public Health (2023)
3.
Prevention of oral functional declining, International Dental Journal (2022)
活動2: 1次予防における口腔保健の推進
活動内容
1.
5Asと5Rsに基づくWHO禁煙ガイダンスを普及させるためのトレーナーを養成するセミナーやワークショップをコーディネートする。
2.
歯科医療現場へのタバコへの簡単な介入のための教育ツールキットを作成する。
3.
WHOの成人および小児の糖分摂取に関するガイドラインに基づき、砂糖摂取をコントロールするための知識を高めるための科学的セミナーをコーディネートする。
4.
学校でのフッ化物洗口プログラムによるう蝕予防の効果を確認するためのセミナーやワークショップをコーディネートする。
活動成果
1.
WHOCC for Oral Health Education and Research、タイ・マヒドン大学と協力し、部分歯列矯正高齢者の食事介入のためのガイダンス作成のための共同研究を行った。
2.
ミャンマー保健省、インドネシア保健省およびインドネシア・ガジャマダ大学と協力し、学校単位のフッ化物洗口プログラムを実施した。
3.
世界歯科連盟(FDI)が歯科医療現場における簡単なタバコへの介入を普及させるのを支援した。 また、タバコと口腔衛生に関するガイダンスやツールキットを作成するための技術支援を行った。 日本の臨床家が利用できるようにツールキットを日本語に翻訳した。
出版物
1.
Anti-caries and anti-microbial effects of school-based fluoride programs in Myanmar school children. Oral Health Prev Dent, 20(1): 165-172, 2022.
2.
Clinical and microbial evaluation of dental caries status and associated factors among primary schoolchildren in Myanmar: A cross-sectional study. Asia Pac J Public Health, 35 (1): 42-49, 2023.
活動3: 水俣議定書における歯科用アマルガム使用削減の支援
活動内容
1.
アマルガム使用時の廃棄物管理および歯科医療現場でのアマルガム曝露を最小化するための感染管理システムの開発を行う。
活動成果
1.
水俣条約に基づき、学会やセミナーなどを通じて歯科用アマルガムの使用を段階的に削減するよう働きかけた。
*WHO協力センター(水俣)と、アマルガム使用に関する廃棄物管理のための開発分野で科学的研究を行う可能性を探るための協議を行った。
活動4: WHO国際口腔保健データベースの構築
活動内容
1.
WHO Global Oral Healthデータベースの歯周病情報(CPI)を整理する。
2.
WHO世界口腔保健アクションプランのモニタリングフレームワークへの技術的インプットを提供する。
活動成果
1.
WHO国際口腔保健データベースを維持・更新のため、各国歯周病有病状況の文献検索・データ収集を行った。 この情報は当協力センターホームページおよびマルメ大学CAPP (Country/Area Profile Project) のホームページに掲載されている。
その他活動
1.
ガジャマダ大学(インドネシア)との共同研究として「多面的アプローチによる学校でのヘルスプロモーション」を進めている。
2.
ミャンマー歯科医師会と共同して「ミャンマーにおける成人のストレスと歯科保健の関係」についてのパイロット研究を進めている。
他WHO協力センターとの交流
1.
WHOCC マヒドン大学 (THA-62):歯科医療現場におけるタバコの禁煙のための能力開発
2.
WHOCC 国立水俣病総合研究センター (JPN-49):歯科用アマルガムの段階的削減の実施
3.
WHOCC 群馬大学 (JPN-89):専門職間研修制度の能力開発
4.
WHOCC 兵庫県立大学 (JPN-77):ヘルシーエイジングの実践