2021年度活動概要
センター概要
WHO口腔保健協力センター
WHO Collaborating Centre for Translation of Oral Health Science
Country ID: JPN-75
主な役割
1. 健康な高齢化における口腔保健理論の構築
WHOが定義する健康な高齢化(Healthy ageing)を進めるために、エビデンスのレビューやフィールド調査を通じて、口腔保健理論構築の支援を行う。
2. 1次予防における口腔保健の推進
WHOが推奨するライフコースアプローチを実践するために、砂糖の摂取制限、禁煙支援、フッ化物洗口等の実践を通じ、健康推進のためのエビデンス構築支援を行う。
3. 水俣議定書における歯科用アマルガム使用削減の支援
各国における歯科用アマルガム使用の削減を実質化するための理論と実践の普及について支援を行う。
4. WHO国際口腔保健データベースの構築
WHO国際口腔保健データベースに質の高い情報を提供するために、口腔疾患(特に歯周病)に関する疫学研究とデータ収集の支援を行う。
活動1: 健康な高齢化における口腔保健理論の構築
活動内容
1. |
高齢者の口腔保健と口腔機能に関する科学的情報を提供する。
日本での研究成果をもとに、WHO Integrated Care for Old People (ICOPE)における口腔健康指針の作成、および健康な高齢化推進のための口腔保健資材の開発を行う。
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2. |
日本の高齢者(94歳)を対象とした縦断的コホート研究を実施し、口腔健康と全身健康の関連を検証する。WHO口腔保健戦略を支持する科学的エビデンスを強化する。
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3. |
WHO西太平洋地域事務局の協力のもと、アジア諸国(フィリピン、マレーシア、ベトナム)の高齢者における口腔機能状態に関するオンライン調査研究を遂行する。
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4. |
WHO西太平洋地域事務局の協力のもと、高齢者口腔保健政策(8020運動)の有効性を評価するためのシステマティックレビューとキーインフォーマントインタビューを遂行する。
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活動成果
1. |
健康な高齢化のためのWHO専門家メンバーとして、WHO Integrated Care for Old People (ICOPE)に口腔健康の要素を導入するための科学的エビデンスを供与した。
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2. |
ウェビナー「Oral Health Promotion for Ageing Population」を開催し、高齢化社会における口腔健康の重要性について認識を高めるとともに、口腔保健推進のための政策について討議した。
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3. |
WHOCC for Oral Health Education and Research、タイ・マヒドン大学と協力し、義歯装着高齢者の食事介入のガイダンス作成に向けた研究を行った。
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出版物
1. |
Oral Health and Nutritional Intake in Community-Dwelling 90-Year-OldJapanese People: A Cross-Sectional Study, Gerodontology (2022)
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義歯装着高齢者の食事介入についての研究:
口腔内診査の様子
インタビューの様子
活動2: 1次予防における口腔保健の推進
活動内容
1. |
5Asと5Rsに基づくWHO禁煙ガイダンスを普及させるため、トレーナーを養成するセミナーやワークショップを遂行する。
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2. |
歯科医療現場でのタバコ禁煙簡易介入のための教育ツールキットを作成する。
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3. |
WHOの成人および小児の糖分摂取に関するガイドラインに基づき、砂糖摂取コントロールの知識を高めるためのセミナーを遂行する。
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4. |
学校でのフッ化物洗口プログラムによるう蝕予防効果を検証するセミナーやワークショップを遂行する。
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活動成果
1. |
ミャンマー保健省、インドネシア保健省およびインドネシア・ガジャマダ大学と協力し、学校単位のフッ化物洗口プログラム実施に向けた計画案を作成した。
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2. |
世界歯科連盟(FDI)の政策声明「歯科医療現場における簡単な禁煙介入」作成協力を行った。また、タバコと口腔衛生に関するガイダンスや教育ツールキット作成支援を行った。
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3. |
WHO西太平洋地域事務局と協力し、ウェビナー「Life-Course Oral Health Promotion; Lesson Learnt from the Western Pacific Countries」「Promoting Oral Health in Schools」を開催した。
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出版物
1. |
Underweight and early childhood caries among young children in rural Cambodia: a pilot study. BDJ Open, 7(1): 33, 2021.
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2. |
Anti-caries and anti-microbial effects of school-based fluoride programs in Myanmar school children. Oral Health Prev Dent, 20(1): 165-172, 2022.
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3. |
FDI Tobacco Cessation Guide for oral health professionals, World Dental Federation (FDI), 2021.
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4. |
The Effects of E-cigarettes on Oral Health. World Dental Federation (FDI), 2021.
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活動3: 水俣議定書における歯科用アマルガム使用削減の支援
活動内容
1. |
アマルガム使用時の廃棄物管理および歯科医療現場でのアマルガム曝露を最小化するための感染管理システムの開発を行う。
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*WHO協力センター(水俣)と、アマルガム使用に関する廃棄物管理のためのモデルプラン構築に関して協議を行った。
活動4: WHO国際口腔保健データベースの構築
活動内容
1. |
WHO Global Oral Healthデータベースの歯周病情報(CPI)を管理する。
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2. |
WHO世界口腔保健アクションプランのモニタリングフレームワークへの技術的インプットを提供する。
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活動成果
1. |
WHO国際口腔保健データベースを維持・更新のため、各国歯周病有病状況の文献検索・データ収集を行った。
この情報は当協力センターホームページおよびマルメ大学CAPP (Country/Area Profile Project) のホームページに掲載されている。
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その他
1. |
2022年1月と2月に開催されたthe Global Oral Health Action Plan(GOHAP)のWHO会議(web)にWHOCCセンター長 小川祐司を派遣した。
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2. |
2022年1月にウェビナー「Life-Course Oral Health Promotion; Lesson Learnt from the Western Pacific Countries」をコーディネートし、原田有理子氏(WPRO)を招いて「WPROにおける口腔衛生推」の講演を行った。
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3. |
2021 年 11 月に本部で開催された WHO Clinical Consortium on Healthy Ageing (CCHA) の年次会議(web)にセンター長 小川祐司を派遣した。
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4. |
2021年8月にウェビナー「Promoting Oral Health in Schools」をコーディネートし、Dr Josaia Tiko(WPRO)を招いて「WPROにおける将来世代の健康育成のための地域フレームワーク」の講演を行った。
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